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障害福祉サービスの運営指導・監査が大きく変わる!~令和8年度以降に事業者が押さえておきたいポイント~(2026/7/30)

令和8年6月5日に開催された社会保障審議会障害者部会では、「障害福祉サービスの質の確保」に向けた新たな制度見直しが示されました。

近年、障害福祉サービス事業所は全国的に急増しており、とりわけ営利法人による新規参入が増えています。一方で、一部事業者による不適切な運営や不正請求などが社会問題となり、多くの利用者に影響を及ぼす行政処分も発生しました。

こうした背景から厚生労働省は、運営指導・監査体制を大幅に強化するとともに、事業所指定やグループホーム運営の在り方についても見直しを進めています。

今回は、その内容と事業者が今から備えておきたいポイントを解説します。

運営指導は「いつ来てもおかしくない」時代へ

これまで障害福祉サービス事業所に対する運営指導は、「概ね3年に1回」の実施が目標とされていました。しかし、令和6年度時点の全国平均実施率は16.5%にとどまり、自治体によって大きな差がある状況でした。

今回の見直しでは、特に事業所数が急増している次のサービスについて重点的な運営指導が行われる予定です。

・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
・共同生活援助(グループホーム)
・児童発達支援
・放課後等デイサービス

これらのサービスでは、3年に1回以上の運営指導を実施することを目標としており、今後は指導を受ける機会が確実に増えていくと考えられます。

「まだ一度も運営指導を受けたことがない」という事業所であっても、日頃から適切な運営を心掛けることが重要になります。

全国共通の「運営指導マニュアル」が整備される

障害福祉分野では、介護保険制度とは異なり、全国共通の運営指導・監査マニュアルがありませんでした。そのため、自治体ごとに確認事項や指摘内容に差があるという課題がありました。

令和7年度中には、

・運営指導マニュアル
・監査マニュアル
・処分基準の考え方

が整備される予定です。

運営指導では確認事項が重点化され、監査では行政処分の考え方も全国的に統一されます。

つまり、「何を確認されるのか」「どのような場合に行政処分となるのか」が、これまで以上に明確になります。

事業者としては、書類を「作っている」だけではなく、「いつでも説明できる状態」で保管・整理しておくことが重要になります。

大規模法人への監査も強化

複数の都道府県で事業を展開している法人に対しては、国による業務管理体制の検査も大幅に強化されます。

これまでは年間30法人程度の実地検査でしたが、今後は約450法人への書面検査、約60法人への実地検査が予定されています。

さらに、100事業所以上を運営する法人については、おおむね2年に1回の実地検査が実施され、法人本部だけではなく各事業所まで確認される予定です。

大規模法人では、本部と各事業所の運営ルールや人事・労務管理が統一されているかも重要な確認ポイントとなるでしょう。

指定制度も「量」から「質」を重視する時代へ

今回の見直しでは、事業所指定の在り方についてもガイドラインが策定されます。

指定申請前の説明会や管理者面談、市町村との意見交換などを通じて、事業者の理念や運営体制、地域ニーズとの整合性まで確認される方向です。

また、総量規制や意見申出制度の活用も促進されます。

これまでのように「基準を満たせば指定される」という考え方ではなく、地域に本当に必要なサービスであるか、継続的に質の高い支援を提供できる体制があるかが重視されるようになります。

今後、新規開設を予定している法人は、事業計画や人員確保、地域との連携について、より丁寧な準備が求められるでしょう。

グループホーム管理者に資格要件を導入

共同生活援助(グループホーム)については、令和9年度から管理者資格要件が導入される予定です。

資格要件は、

・障害福祉分野で3年以上の実務経験
・共同生活援助管理者研修の修了

が予定されています。

既存管理者には一定の経過措置がありますが、新規開設事業所では開設時から資格要件を満たす必要があります。

さらに、生活支援員や世話人など直接処遇職員についても、障害福祉の基礎研修を受講させるための体制整備が求められる方向で検討されています。

グループホーム運営においても、「経験があればよい」という時代から、「知識と研修を備えた管理者・職員」が求められる時代へ移行していくことになります。

社労士として感じる今回の制度改正のポイント

今回の見直しは、不正請求への対応だけが目的ではありません。

制度全体を通して見ると、「サービスの質を高める仕組みづくり」が大きなテーマになっています。

そのため、今後は人員配置や勤務実績だけでなく、

・研修の実施状況
・虐待防止・身体拘束適正化への取組
・個別支援計画の適切な作成
・業務管理体制
・職員教育
・法令遵守体制

など、組織としてのマネジメントがこれまで以上に重視されるでしょう。

当事務所も、人事・労務管理の支援だけではなく、研修体制の整備や就業規則、ハラスメント防止、職員定着支援などを通じて、事業所全体の運営体制づくりをサポートする役割がますます重要になると感じています。

まとめ

令和8年度以降、障害福祉サービス事業所を取り巻く環境は大きく変化します。

運営指導・監査の強化、指定制度の見直し、グループホーム管理者の資格要件導入など、いずれも「質の高いサービス提供」を実現するための改革です。

運営指導は、特別な準備をするものではなく、「日頃の運営そのもの」が評価される時代になります。

今後は、人員配置、各種規程、研修記録、勤務実績、個別支援計画、業務管理体制などを日常的に点検し、法令を遵守した運営を継続することが、利用者から選ばれる事業所づくりにもつながります。

制度改正は負担が増えるという側面もありますが、見方を変えれば、自法人の運営を見直し、サービスの質をさらに高める良い機会でもあります。今回の改正内容を正しく理解し、早めの準備を進めていきましょう。

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