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採用難時代を勝ち抜く!データが示す「選ばれ、定着する」介護事業所の条件(2026/9/5)

公益財団法人介護労働安定センターが公表した「令和7年度 介護労働実態調査結果報告書(事業所調査)」によると、従業員の過不足状況で「不足」と感じている事業所は65.8%に達しました。特に訪問介護員(ヘルパー)においては、実に82.9%の事業所が人材不足に頭を悩ませています。

一方で、同調査のデータを紐解くと、離職率を抑え、質の高い人材を確保することに成功している事業所の取り組みや、求職者・現場スタッフのリアルな意識も見えてきます。今、介護事業所に求められる雇用管理と職場環境改善の最前線を解説します。

1. 採用の鍵は「リファラル(友人紹介)」と「賃金水準」

多くの事業所が求人広告にコストをかけていますが、データが示す「最も効果的な採用手法」は別のところにあります。

事業所が実施した採用活動の中で、「友人・知人の紹介依頼(リファラル採用)」は66.0%の事業所が実施し、そのうち47.3%が「効果があった」と回答しています。実際に働く労働者側の就職経路を見ても、「友人・知人からの紹介」が33.8%と圧倒的トップです。

また、採用成功に最も効果を発揮した方策として挙げられたのが「賃金水準の向上」(38.4%)でした。労働者調査における平均月収(月給者・通常月)は254,951円(前年度比2.4%増)となり、訪問介護員(4.1%増)や介護職員(3.1%増)を中心にベースアップの動きが進んでいます。他社と比較して見劣りしない待遇面の提示と、既存スタッフが思わず知り合いに紹介したくなるような職場環境づくりが、採用活動の成否を分ける二大要因と言えます。

2. 離職防止・職場定着を左右する「休暇の取りやすさ」と「人間関係」

2職種(訪問介護員・介護職員)の平均離職率は12.4%と横ばいで推移していますが、年齢階層別で見ると29歳以下の離職率が17.3%と際立って高く、若い世代の定着が大きな課題となっています。

では、スタッフに長期間働いてもらうためには何が必要なのでしょうか。

事業所が「職場定着に最も効果があった」と実感している取り組みの第1位は、「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり」(57.9%)です。多様な働き方を許容し、プライベートと両立できる柔軟なシフト体制を整えることが、離職を防ぐ最も強力な防壁となります。

また、中途採用者が前職(介護職)を辞めた理由の第1位は「職場の人間関係に問題があったため」(27.3%)であり、その具体的理由の約半数(45.8%)が「上司・先輩からの厳しい指導・言動、パワハラ」でした。コミュニケーションの改善、ハラスメント防止教育、相談しやすい雰囲気づくりは、単なるマナーの問題ではなく、事業所経営を揺るがす「離職防止策」そのものです。

3. 「介護テクノロジー」と「スポットワーク」で現場の負担を軽減

人手不足を根本から解決するためには、従来の人の手だけに頼る運用からの脱却が不可欠です。調査では、最新のテクノロジーや新しい働き方の導入が進んでいることが分かります。

(1) 介護テクノロジー(ICT・介護ロボット)の導入効果

ケア記録ソフトやタブレット端末、見守りセンサー(ベッドセンサー等)といった介護テクノロジーを導入している事業所のうち、約半数が「昼間の業務負担軽減(53.8%)」や「夜間の業務負担軽減(47.2%)」に効果があったと回答しています。転記作業の削減や夜間訪室の効率化は、残業削減やスタッフの身体的負担軽減に直結します。

② スポットワークの活用と正社員化

スキマ時間を活用して1日・短時間単位で働く「スポットワーク」を利用した事業所は全体の8.9%ですが、人手不足感が強い事業所ほど活用が進んでいます。利用理由の多くは「マンパワーの即時確保」や「繁忙帯のカバー」ですが、注目すべきはスポットワーク利用事業所の28.0%が、そこから正社員等の直接雇用へつなげている点です。お試し就労(体験勤務)の場としてスポットワークを活用し、ミスマッチのない採用につなげる手法は、今後さらに広まるでしょう。

4. 将来の「介護離職」リスクに備える両立支援

現場で働くスタッフの「将来の離職リスク」にも目を向ける必要があります。労働者調査によると、現在家族の介護をしている労働者は12.5%ですが、「今後5年間に家族介護をする可能性がある」と答えた人は50.2%と、実に約半数に上ります。

現在、「家族の介護をしながら仕事を続けられない」と感じている労働者は全体の約4割に達していますが、これは事業所側のサポート体制や雰囲気で大きく変わります。

  • 介護について「相談できる雰囲気がある」職場の労働者は、仕事継続への自信が高い傾向にあります。

  • 介護休業を「仕事を続けるための体制構築期間」と正しく認識している労働者は、約3分の2が仕事を「続けられる」と回答しています。

事業所側から介護休業制度の正しい目的を発信し、悩みが発生した際に早期相談できる面談体制などを整えておくことが、ベテラン・中堅スタッフの介護離職を防ぐ鍵となります。

まとめ:選ばれる事業所になるための3つのアクション

令和7年度の介護労働実態調査報告書から見えてくるのは、「人手が足りない」と嘆く前に、事業所として取り組むべき明確なアクションプランです。

  1. 柔軟な働き方と好待遇の実現: 有休消化やシフト変更の柔軟性を高め、賃金水準の向上に取り組む。

  2. 職場環境・人間関係の健全化: ハラスメントを徹底排除し、紹介(リファラル)が生まれる温かい職場風土をつくる。

  3. 新ツール・新手法の積極採用:ICT機器による業務効率化を図りつつ、スポットワークなどを通じた新たな採用チャネルを開拓する。

制度の改正やテクノロジーの進化をチャンスと捉え、現場の「働きやすさ」と「働きがい」を同時に追求していくことこそが、激化する人材獲得競走を勝ち抜く最大の近道です。

データ引用元:公益財団法人介護労働安定センター「令和7年度 介護労働実態調査(事業所における介護労働実態調査 結果報告書)」

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